士金で駅弁

そんなんで良い方のみスクロールで

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 ――待て、雑種。
目の前の唇から発されたその言葉を受け、反射的に躯が止まる。
……何だか犬みたいだな、俺。
そんな嫌なことをちらりと考えながら、彼を改めて注視した。
荒い息のままに、こちらを睨み返してくる英雄王。
今現在、その長い脚は自分の双肩に掛かっており、上半身は自分が壁に押し付けている。
自分と繋がった一点のみで重力を受けているその痴態は紛れも無く目に毒で、視覚がそれを認識した瞬間、更に下半身に血が集まる感覚を覚えてしまう。
それを奥深くで受けた彼が、ぐ、と色気のない呻きをあげる。
酷く眉を顰めた表情を見て、ふと、ある可能性に思い当たった。

「――もしかして、」
自分の言葉に、彼が表情を強ばらせる。
次の言葉を既に予測したようなその貌を見ながら、言葉を繋いだ。
「……これ、痛いか?」
もしそうだとしたら申し訳が立たないと思って言ってみたのだが、血液の不足した脳で考えただけに、自分の予想は現実と大幅にずれがあるようだった。彼の表情が一気に呆れたような、それでいて安堵したようなものに変わる。
――違う、だが待て、これは駄目だ。
自分の問いかけに、彼はそんな曖昧な返答を返してきた。
その言葉だけでは自分には先刻の彼の言葉の意図が解らなかったので、じゃあ何故止めたんだ、と更に疑問を投げかけてみる。
……足りぬ頭で考えろ、と、彼は憮然とした表情でそれを切り捨てた。

 背筋から苛つきが登ってくる。
自分はこういう方面の経験に乏しい。だから何で待てと言われたのかさえ解らない。経験がないから本当はどうなのかすらも解らないけど、自分のやり方は稚拙なのだろうと自覚してもいる。だからきちんと何が悪いのか教えてくれれば、互いに気持ちよくなれるかもしれない。遠慮なんかしないで言ってくれ。至らないところは直すから。
そう切々と説いてみるも、彼はやはり黙ったままで。
頑なに沈黙を守る彼に対して、次第に自分の中で苛々が濃く育っていく。

 そもそも、彼の命を聞き続けてずっと動かないままでいるわけにもいかない。
腰だって痛めてしまいそうだし、何より彼を突き上げたくて仕方がない、暴走しそうな本能を抑え込むのにも精一杯なんだから。
その上衝動をやり過ごそうにも、四肢全てが彼を支えるのに使われていて身動きをとることもできない。
……なんていうか。
生殺しすぎないか、これは。
衝動を紛らわすように頭部をこつんと、彼の肩に乗せた。
それで重力がかかる箇所が変わったのだろうか、切羽詰まったように、彼は大きく息をついた。
その吐息が耳にかかる。
微かに含まれた熱さに、衝動を辛うじて抑え込んでいた理性が、本能の前に瓦解した。

 ――ああもう、くそ。もう限界だ。
どうしても言わないというならばそれでもいい。
自分が彼を気持ちよくしてやればいいだけの話なんだから。
犬の如く待つのを止め、彼の奥を探り始める。
途端に鋭く叱咤してくる声がするが、それもこの際無視することにした。
記憶を頼りに、先日彼が反応した箇所を擦り上げる。
その瞬間、酷くバランスが崩れた。
王の命を聞かない自分に我慢がならないのか、癇癪を起こした英雄王の脚が、自分を蹴りつけようとして肩から離れる。

「――あ」
待て、この状況で、そんなことをしたら。
案の定、彼が体勢を崩しかけてしまうが、既のところでそれを支えてやる。
それはどうにか成功した。
成功したのだけれど。

 ……いや、重力とは恐ろしいな。
そんなことをしみじみと考えさせられる。
先程崩れた体勢を無理に支えたためか、――随分と、深く繋がってしまっている。
彼も同様にそれを感じたようだった。失策に舌打ちしながらも、眼を瞑り眉根を寄せ、大きく喘いで熱を逃そうとしている。
いつもの自分だったら彼の息が納まるのを待ってやれるのだろうけど、今の自分にはそれは不可能な話だった。
散々待たされ焦らされた上、こんなにも深く彼と繋がっているという事態を受け、脳のラジエータが機能を放棄してしまっているのがありありと解る。

 だから無理だ、ごめん、と心の中で謝罪して。
彼を抱え直し、深く繋がった状態で先刻と同じように彼を探り、穿つ。
先程逃れようと暴れて墓穴を掘ったためか、あまりに深く突かれているためその余裕すらないのか、彼は今度は暴れようとはしなかった。
ただ、時折毒づきつつも荒い息を吐きながら、自分に揺さぶられている。
感覚を逃そうと、彼が上体を捩って仰け反ろうとするのが解った。
しかし壁を背にしている所為でそれも出来ず、快楽を蓄積させるしかない状態になってしまっているようで。
擦り上げるごとに、彼に余裕がなくなっていくのが解る。次第に反応が露骨になっていく。
その表情も、その喘ぎも、その反応も、その眼に浮かぶ情欲ですら、何もかもが露骨。
それが嬉しくて、もっと気持ちよくなって欲しくて、つい強く深く突き上げてしまう。
悦楽に流されまいと耐える表情が、どこかで見たものと重なって。
余裕なく求め求められる中で、先刻のものと違う可能性が茫漠とした脳に浮かんできた。

「……あのさ」
射精した後に特有の、気怠い感覚の中。
先刻の自分の思いつきが正しいのかふと確かめてみたくなって、ぐったりと隣で寝転ぶ彼に聞いてみた。
「間違ってたら本当すまない。いや、たぶん間違ってると思うんだ。そんな筈もないし。でもさ」
彼の紅眼が不審気な猜疑の色を含んでこちらを見上げてくるのが見える。
「……感じてたからか?さっき止めたの」

 自分の言葉を切欠に、どうしようもなく重い沈黙が場に訪れた。
その中で、彼の目が剣呑な光を帯びてくるのがはっきりと覗える。
実際はそう長くはなかったのだろうけど、気恥ずかしさが沈黙の時間を何倍にも感じさせた。
「あ、いや、間違ってるよなそんなわけないよなすまない悪かった忘れてくれ」
――そりゃそうだ。何を馬鹿なことを考えていたのだろう、自分は。
自惚れるにも程がある。自分の愚かさとこの場の沈黙に居た堪れなくなり、慌てて軌道修正を試みる。

 ――と。
手が、自分に向かって伸びてくるのが視えた。
かと思うと、いきなりその指が自分の頭をがし、と掴んでくる。
それ程まで自分の愚かしい問いが気に障ってしまったのだろうか。
殺気すら漲らせたその仕種に腰が退け、慌てて謝罪を重ねようと口を開いた。

 その自分の言葉を遮るかのように。
起き上がった彼の唇に、塞がれた。
反応する間もなく、舌が割り入ってくる。
驚きのあまり半開きになったままの歯列の間から、つ、と上顎をなぞられる。
酷くむず痒い感覚に耐え切れず逃げようとするも、頭が堅く押さえつけられている所為で思うようにいかない。
その間にも、口腔は余さず彼の舌に蹂躪されていく。
舐られる箇所の適確さに、躯の力が抜けていく。

 これは、拙い。――気持ち、よすぎる。
甘い痛痒にも似たその感覚は紛れもなく快楽で、必死に呼吸を確保する度に、口から勝手に喘ぎに似た息が漏れてしまう。
彼の目の前にそんな自分が晒されているのが何だか凄まじく気恥ずかしくて、彼の唇が一瞬離れた隙を突いて顔を離した。
酸欠になりそうな状態の中、口を拭いながら必死に息を繋いで抗議する。
「……は、ちょっと、待て、止めろ馬」
そこまで言ったところで、何かしら引っ掛かるものを感じた。
はっと見上げると、彼と視線が交錯する。
その眼に浮かぶ表情を目にした瞬間、理解が躯に染みた。
ようやっと解ったか、とでも言っているかのように拗ねた色をした、彼の眼。

 ――ああ、やっぱり、それでよかったのか。
先程の問いへの返答を文字通り躯に教え込まされていたのをようやく理解する。
――よかった。ちゃんと、気持ちよくなってくれていたんだ。
結局最後まで言葉にしなかった、照れ隠しの見え隠れするその意固地さに思わず笑みが零れる。
それを貫き通してなお、理解の乏しい自分に教えようと骨を折ってくれた彼に愛しさを覚える。
湧きくる情愛に無意識に躯を動かされ、彼の頬に手を添えて、唇をこちらから奪った。
思わず逃げようとする舌先を捉え、先刻彼にされたように舐ってみる。
そのような行動に出られると予想していなかったのか、びく、と反応してしまう彼の躯に腕を回し、更に深く唇を重ねる。
――今度は、自分のこの感情を伝えてやらないと。
酷く幸福な感覚に満たされるままに、先程されたことに対しての反撃を開始した。

























ヘタレの天然責め万歳

矜持高い受の羞恥心万歳

身長170の一成より低いということなので士郎を168と仮定。
167より低ければあの描写は一成ではなくて「慎二よりも低い」になってたと思うので。
この士郎を適用すると182のギル様(受)とは14cm差となってしまうわけで。
体位の種類に制限がかかってしまうことに気付いた時はちょっとヘコみました(笑)
対面座位とか好きなのに萌えるのにちくしょう絵的に難しい!と涙を流していたわけですが、
暗い暗いと言うよりも進んであかりをつけましょうと肯定的に捉えてみようとふと考えてみました。
そしたら発見したんですよ。
あの憧れの「腰ではなく肩に足をかける駅弁」が無理なく出来るじゃないですかアンタたち…!
とはいってもギル様68kgだから士郎の腰を労って壁に力を借りてみたり。
受がでかいからこそ出来る体位もあるということに今更ながら気付きました。
これからも頑張って萌え体位探しを頑張りたいと思います。

…しかし、何だな。
調子に乗った攻だとか言われて違うもんうちの士郎さんはピュアだもんと反論したりしてたんですが。
…確かにちょっと暴走して調子こく傾向にあるみたいですねうちの攻は…!(笑)
でもヘタレは譲れない!士郎さんはわんこなんだよ!天然奉仕系攻なんだ!と主張しておきます。



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