思い起こせば少し前。
 俺の誕生日に欲しいものを尋ねられて、ついその、……うっかり好き勝手してしまったのが多分事の始まりだった。
 翌日散々怒られたけど、結構アッサリした性格のギルガメッシュのこと。それで終わりだと思っていた自分の甘さが恨めしい。
 ギルガメッシュにしては珍しく、深く深く根に持っていたらしいソレのせいで……今の俺は、極楽一歩手前の生き地獄の真っ最中だった。



「な、あ……っ、ギル、も、外し……っ」
「ふん……ならんぞ、士郎……我の許し無く、動くことは、許さ、ぬ……」
 泣きそうな声を情けないと思う余裕など無く、目の前の王様に許しを請う。どれだけ辛いかギルガメッシュも分かっているはずなのに、それでも許しは与えられることは無かった。
 熱に浮かされたように淫蕩に微笑むギルガメッシュの見上げてくる瞳には、明らかに嗜虐の悦びが見え隠れしている。
 そんな様にすらぞくり、と這い上がる快感は、ただ俺を苦しめるだけだった。
  くちゅ、ちゅぷ……。
 空気すらねっとりと絡みつくような熱を持った部屋の中で、どうしようもないくらいいやらしい音が響く。
 犯罪だ。
 先走りで濡れた唇が緩やかな弧を描き、窺うように欲に濡れた紅玉が見上げてくるのなんて、そんなの犯罪だ。
 自分の下肢に顔を埋め、形のいい唇を大きく開いてはちきれんばかりのソレを咥え込む姿だって、犯罪に決まってる。
 両手両足をギルガメッシュの宝具らしき縄で戒められた自分にとって、そんな暴力的な犯罪に対抗する手段などあるわけが無い。
 というのに、この凶悪な犯罪者はその威力を知った上で存分に持てる限りの凶器を俺の精神へとぶつけてくるのだ。
「も、イ……止め、……って、く、れ……っ」
 とっくの昔に恥も外聞も投げ捨てて、それでもまだ許されない。
 いきそうになる俺の根元を二本の指で容赦なく締め付け、ギルガメッシュはくつくつと楽しそうに喉を鳴らす。くそ、この性悪王め……っ!
「ふ……全く、堪え性の無い雑種だな……そんなに射精(だ)したいのか?」
 必死で頷こうとする頭が、ガクガクと痙攣したように揺れた。目の前が真っ白になるほどの熱に、呼吸すら満足に出来なくなる。
「ならば……みっともない声で、我に乞うてみせよ……」
 そうすれば許してやろう、と。
 言外の許し、解放の示唆にワケが分からなくなってもう無我夢中でイかせてくれ、と叫んで。
 指が緩んだのと同時、解放は――永遠のような、一瞬。



「ふ……それほどに、辛かったか……?」
 さっきより近くで聞こえてきた声に、呆けていた意識が引き戻されて目の前のソレに焦点が合う。
「ぅあ……っ!?」
 射精の後の脱力感に支配されていた身体が一瞬にして硬直した。
 犯罪だ犯罪だと思っていたけれども、もうコレは犯罪なんてものじゃない。
「良く、射精(だ)したモノだな……」
 俺の瞳を覗き込んでくる、冗談みたいに綺麗な顔が、白いモノで彩られている。
 さっきまでの行為で自分だって煽られて上気した頬をつう、と伝うソレを、伸ばされた赤い舌がちろり、と舐め取って。
 その苦味にか、僅かに顰められた眉すら、もうどうしようもないくらいに――綺麗で。
 駄目だ。
 殺される。
 こんなのずっと見てたら……絶対、心臓が持たない……!
「ほう……まだ、足りないか?」
 ずくん、と身体を走り抜けた衝撃そのままに再び熱を持ち始めた俺自身に気付いたか、面白がるような声が響く。
「だっ、て……お前、が……っ!」
 欲しい。欲しい欲しいほしいホシイ。
 馬鹿になったみたいにギルガメッシュのことしか考えられなくなって、それなのに自分ではどうしようも出来ない。
「ギルガメッシュが……っ、欲し……!」
 欲に掠れた声で訴える俺を面白そうに見下ろして、英雄王は彼に相応しく尊大に、笑った。
「愚か者め。
 ――奪うのは、我だ」







羽柴さんから誕生日祝いに士金をいただいてしまいましたよ!有難や有難や…!
この後は英雄王がうっかりとマウントとられるけれどもこれだけだと士金に見えないかもと
おっしゃっておられましたがむしろこれが士金の醍醐味ではないでしょうかと思うわけです先輩。
偉そうでいけいけごうごうで攻めっ気たっぷりな金様とそれに翻弄される純然たる一介の雑種。
しかし雑種が余裕のない青春真っ盛りうわあどうしよう俺歯止め効かないモードに突入するや事態は一変!
絶対的に支配力を持っていたはずなのに英雄王マウントとられちゃいましたぁーしかも雑種激しい!
これは激しい!反撃の余地なし!実に見事な下克上だぁーーー!いやー古○さんこのコントラストは凄いですねー!

みたいな。そんな感じに英雄王がいいようにされてしまうのって素敵だと思うんです(ピュア
そしてその落差は最初の英雄王様の優位が堅固であればあるほど引き立つのです。
そんなわけでどうみても素敵士金です有難うございましたーv





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